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2018-01-10  本文已影响0人  黄昏深处

二人して黙《だま》りこくっているのに耐《た》えかねて俺はそう訊《き》いてみた。長門有希は返事の代わりにハードカバーをひょいと持ち上げて背表紙を俺に見せる。睡眠薬《すいみんやく》みたいな名前のカタカナがゴシック体で躍《おど》っていた。SFか何かの小説らしい。

「面白《おもしろ》い?」

長門有希は無気力な仕草で眼鏡《めがね》のブリッジに指をやって、無気力な声を発した。

「ユニーク」

どうも訊かれたからとりあえず答えているみたいな感じである。

「どういうところが?」

「ぜんぶ」

「本が好きなんだな」

「わりと」

「そうか……」

「……」

沈黙。

帰っていいかな、俺。

テーブルに鞄を置いて余っていたパイプ椅子《いす》に腰《    》を下ろそうとしたとき、蹴飛《けと》ばされたようにドアが開いた。

「やあごめんごめん! 遅《お》れちゃった! 捕《つか》まえるのに手間取っちゃって!」

片手を頭の上でかざしてハルヒが登場した。後ろに回されたもう一方の手が別の人間の腕《うで》をつかんでいて、どう見ても無理矢理連れてこられたと思《おぼ》しきその人物共々、ハルヒはズカズカ部室に入ってなぜかドアに錠《じょう》を施《ほどこ》した。ガチャリ、というその音に、不安げに震《ふる》えた小柄《こがら》な身体《からだ》の持ち主は、またしても少女だった。

しかもまたすんげー美少女だった。

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