【日语共读】《心》夏目漱石(155)
《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路。
「私は奥さんからそういう風(ふう)に取り扱われた結果、段々快活になって来たのです。それを自覚していたから、同じものを今度はKの上に応用しようと試みたのです。Kと私とが性格の上において、大分(だいぶ)相違のある事は、長く交際(つきあ)って来た私によく解(わか)っていましたけれども、私の神経がこの家庭に入ってから多少角(かど)が取れたごとく、Kの心もここに置けばいつか沈まる事があるだろうと考えたのです。
我切身体会到,我就是给夫人这样调理的结果,才慢慢快活起来的。所以,这回便想把同样的试验应用在K身上。经过长期交往,我深知K和我在性格上有很大差异。但是我想,正如我的神经自打进了这个家庭之后,多少擦掉些棱角一样,K的心也会在这里不知不觉地平静下来的吧。
Kは私より強い決心を有している男でした。勉強も私の倍ぐらいはしたでしょう。その上持って生れた頭の質(たち)が私よりもずっとよかったのです。後(あと)では専門が違いましたから何ともいえませんが、同じ級にいる間(あいだ)は、中学でも高等学校でも、Kの方が常に上席を占めていました。私には平生から何をしてもKに及ばないという自覚があったくらいです。けれども私が強(し)いてKを私の宅(うち)へ(ひ)っ張(ぱ)って来た時には、私の方がよく事理を弁(わきま)えていると信じていました。私にいわせると、彼は我慢と忍耐の区別を了解していないように思われたのです。これはとくにあなたのために付け足しておきたいのですから聞いて下さい。肉体なり精神なりすべて我々の能力は、外部の刺戟(しげき)で、発達もするし、破壊されもするでしょうが、どっちにしても刺戟を段々に強くする必要のあるのは無論ですから、よく考えないと、非常に険悪な方向へむいて進んで行きながら、自分はもちろん傍(はた)のものも気が付かずにいる恐れが生じてきます。医者の説明を聞くと、人間の胃袋ほど横着なものはないそうです。粥(かゆ)ばかり食っていると、それ以上の堅いものを消化(こな)す力がいつの間にかなくなってしまうのだそうです。だから何でも食う稽古(けいこ)をしておけと医者はいうのです。けれどもこれはただ慣れるという意味ではなかろうと思います。次第に刺戟を増すに従って、次第に営養機能の抵抗力が強くなるという意味でなくてはなりますまい。もし反対に胃の力の方がじりじり弱って行ったなら結果はどうなるだろうと想像してみればよく解(わか)る事です。Kは私より偉大な男でしたけれども、全くここに気が付いていなかったのです。ただ困難に慣れてしまえば、しまいにその困難は何でもなくなるものだと極(き)めていたらしいのです。艱苦(かんく)を繰り返せば、繰り返すというだけの功徳(くどく)で、その艱苦が気にかからなくなる時機に邂逅(めぐりあ)えるものと信じ切っていたらしいのです。
“
K是个比我意志坚强的人,学习也比我倍加努力,而且天资更比我强。后来由于专业不同,就不必说了。在一个班里的时候,无论是初中还是高中,K常常名列前茅。平时我就觉得不管干什么都不及他。但是当我硬把他拉到住处来时,却自信是很明事理的。我认为他并不理解克制和忍耐的区别。请注意,这是特意为你补写的。肉体也罢,精神也罢,我们的一切机能在外界条件的刺激下,既会得到发展也会受到破坏。当然哪方面都有逐渐加强刺激的必要。所以,如果不能认识这一点,便会朝着非常危险的方向滑下去,且不说自己,恐怕连旁人也察觉不到。听医生说,人的胃是最懒惰的,如果光喝粥,便会不知不觉地失去消化比粥硬的东西的能力。因此医生认为,要学会能吃任何东西。但是,我想这并不仅仅是指习惯的意思吧,可能还有随着逐渐增加刺激,从而慢慢加强营养机能的抵抗力的含意。倘若相反,胃的能力逐渐衰弱,后果如何是马上可以想见的。K虽然是个比我有作为的人,却丝毫没有发觉这一点。似乎是只要习惯了困难之后,其它困难便一定无所谓了。他似乎坚信一点:只要不断劳其筋骨,有了这一功德,不怕任何艰苦的时机就会到来。
主播介绍
本期主播:潇匠
本期编辑:LMN
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