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【日语童话】先々さん/将来先生

2019-12-10  本文已影响0人  sunny赛赛

昔、ある所にお爺さんとお婆さんがおったそうな。お爺さんは、真面目に働いて、少しばかりのお金を貯めておった。お爺さんは「このお金は、わしらの先々のために、置いとくお金じゃから、大事にしまっとけよ。」といつも、お婆さんに言っておった。お婆さんは、大事なお金じゃけえと、暇さえあればお金を数えておった。

从前,某个地方有一位老爷爷和一位老奶奶。老爷爷辛勤地劳动,并攒了一点儿钱。老爷爷经常对老奶奶说:“老太婆,这些钱是为了我们的将来用的,你要好好地把它收起来哟。”老奶奶觉得这钱很重要,一有空就拿出来数一数。

ある日、お婆さんがお金を数えておると、物貰いが来て、「何か、もらえる物はないか。」と言って、家の中をきょろきょろ見回した。「ご覧のとおりの貧乏人ですけえ、あげる物は何もありません。」と言うと、物貰いは「いま数えておるその金をくれえ。」と言うた。「このお金は、先々のためにとっとくお金ですけえ、あげられません。」物貰いは、ちょっと騙しちゃろうと思って、「お婆さん、このわしが、その先々だがな。」というたと。「あっそうですか。あなたさんが‘先々さん'ですかいな。それでは、どうぞ。」と言って、お婆さんは、貯めとったお金を全部渡してしもうたそうな。

有一天,老奶奶正在数钱时,来了一个乞丐。他问老奶奶:“能给我点儿东西吗?”说着向屋里四下张望。老奶奶回答他:“正如你所见,我们也是穷人家,没什么东西可以给你的。”乞丐接着说:“那就把你正在数的钱给我吧。”老奶奶回答:“这些钱是为了我们的将来而攒的,不能给你。”乞丐想骗她,就说:“老奶奶,我就是那‘将来’先生呀。”“是吗?你就是‘将来’先生?那就给你吧。”说着老奶奶就把存的钱全都给了那个乞丐。

晩方になって、お爺さんが帰ってきて、お婆さんは、「今日、先々さんが来なさったんで、お金を全部渡したけえ。」と話したそうな。お爺さんは、びっくりするやら、呆れるやら、「先々いうたら、わしらのこれから先の暮らしのことじゃが、何ちゅうことをしてくれたか」と言って、かんかんに怒ったそうな。

到了晚上,老爷爷回来了。老奶奶告诉他:“今天‘将来’先生来过了,我把钱全都给了他。”老爷爷听,气得目瞪口呆,勃然怒道:“我说的将来指的是我们的将来生活。嗨!你都干了些什呀。”

「もうすぐ正月が来るのに、年を越す金もない。夜逃げするしかあないなあ」と言って、お爺さんとお婆さんは、身支度をして夜が来るのを待っておったそうな。

老爷爷说:“马上就要过年了,家里又没钱过年,我们只好连夜出去逃年了”于是他俩开始做准备,等待夜幕的降临出。

どこの家も寝静まったころに、お爺さんは、「さあ行こう、お婆さんや、戸を開めとけや。」と言って、先に家から出ていった。お婆さんは、少し耳が遠いもんで「戸を持っていくんだかや?」と開き返した。

周围的人家都睡下,四处静悄悄时,老爷爷对老奶奶说:“唉!走吧,老太婆,带上门。”说着就先出去了。可是老奶奶有点儿耳背,反问到:“要带门去吗?”

「何を言うか、戸を閉めとけよと言うたんじゃ。」と、近所に聞こえんように小声で言うたんで、お婆さんは、また、「戸を持って行くんだか?」と聞き返した。お爺さんは腹が立って、「勝手にせえ。」と言って、さっさと先に行ってしもうた。お婆さんは、戸を背負うたり、下げたりしながら、やっこらやっこらお爺さんの後を追いかけた。

“你说什么呀?我叫你关好门。”为了不让邻居听见,老爷爷小声地回答她。可是老奶奶又反问:“要带门去吗?”老爷爷很生气,说:“随你便吧!”就先走了。老奶奶一会儿扛,一会儿拖,拉着那重重的门,“嗨吆吆”地跟在老爷爷后面。

戸を持って、やっとの思いで木に登ったそうな。やっと峠まで来たときには、くたびれてしもうて、もう一歩も歩けんようになってしもうたと。「お爺さん、お爺さん。もう歩けん。一休みしよう。」と言って、大きな木の根元で休むことにした。

老奶奶杠着重重的门,终于来到了山顶的一棵树下。她疲惫不堪,再也走不动了,就对老爷爷说:“老头子!老头子!我已经走不了,歇一歇吧。”于是,他们就决定在大树下休息一会儿。

しばらく休んでおると、向こうの方から大勢の人がやって来るような人声がしたそうな。二人は、夜逃げが見つかっちゃあ困るので、木の上に登って隠れることにした。お爺さんが先に登って、「お婆さん、早う登ってこいや、戸はそこへ置いときゃあええから。」と言うたが、お婆さんは、「戸を持って上がるんだか?」と聞いたそうな。「何を言うか、戸を置いとけや言うたんじや。」お婆さんは、よう聞きとれんで、何遍も聞いたんじゃと。お爺さんは、人声も近づいてきたんで、いらいらしてきて「勝手にせえ。」と言うたから、お婆さんは、一生懸命、持ちにくい戸を持って、やっとの思いで木に登ったそうな。

刚歇了一会儿,他们听见了说话声,好像许多人正从对面走过来。他俩心想:若是被这些人发现他俩是出来逃年的,那就麻烦啦。他俩决定爬到树上躲起来。老爷爷先爬了上去,再叫老奶奶“老太婆。赶快爬上来吧。把门放下就行啦!”老奶奶问:“是带着门爬上去吗?”“你说什么呀?我叫你把门放下。”可是,老奶奶还是听不清,又问了好几遍。老爷爷发现那些人的说话声越来越近了,就急忙说:“随你便吧!”老奶奶拖着那重重的门,拼命地往树上爬,她终于爬了上来。

「ガタ、ガタッ、バッターン!」ちょうどその時、ガヤガヤ言うとった連中が木の下に来て、輪になって座ったそうな。「今日は、たくさんのお金が手に入った。みんなで山分けにしよう。」と言って、明かりを灯して、真ん中にいっぱいのお金を置いて数え出した。

“嘎哒嘎哒!扑腾!”就在这时,那一伙人吵吵嚷嚷地来到树下,围成一圈席地而坐。其中一个说:“今天我弄到了很多钱,大家起来平分吧。”他们点亮了灯,开始数那些放在中间的钱。

お婆さんが、ふと見ると、その連中の中に昼間にお金を持っていった『先々さん』がいるのが分かったそうな。お婆さんは、戸が重たいのを我慢して、一生懸命下げとったんじゃが、手がだるうなって、「お爺さん、重いとうて我慢できん。落としてもええだか?」「何を言うか、下におるのは恐い連中じゃで、落とさんようにしっかり持っとけ。」「手がだるうてだるうて、辛抱できん。」と言うて、とうとう手を放してしもうたもんだけえ、「ガタ、ガタ、バッターン!」と、大きな音がして、連中の頭の上に落ちてしもうたんじゃてえ。

老奶奶突然发现其中一个就是白天来讨钱的那个“将来先生"。她咬紧牙关用力地拉着那扇重重的门,手酸得实在受不了,可还是坚持着。她对老爷爷说:“老头子,门太重了。我可以放下吗?”“你说什么?下面有一伙坏蛋,不能放下。拿着!”“手发酸了,实在受不了啦!”说着老奶奶就不由地松开了手。随着“霹雳啪啦!扑腾!”一声巨大响声,那扇门就重重地砸在那伙坏蛋的头上。

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