【日语共读】《心》夏目漱石(131)
《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路。
「私の気分は国を立つ時すでに厭世的(えんせいてき)になっていました。他(ひと)は頼りにならないものだという観念が、その時骨の中まで染(し)み込んでしまったように思われたのです。私は私の敵視する叔父(おじ)だの叔母(おば)だの、その他(た)の親戚(しんせき)だのを、あたかも人類の代表者のごとく考え出しました。汽車へ乗ってさえ隣のものの様子を、それとなく注意し始めました。たまに向うから話し掛けられでもすると、なおの事警戒を加えたくなりました。私の心は沈鬱(ちんうつ)でした。鉛を呑(の)んだように重苦しくなる事が時々ありました。それでいて私の神経は、今いったごとくに鋭く尖(とが)ってしまったのです。
“我离开故乡时,已经感到厌世了。那时,似乎人不可信的观念已经渗进了我的骨髓。我仿佛觉得我所敌视的叔叔、婶母和其他亲戚,简直就是人类的代表。甚至在火车上也用这种眼光观察着邻座,有时他们跟我拉话,我反而更加警惕。我的心是阴郁的,常常象吞了铅似的痛苦不堪。因而我的神经正如刚才所说,就变得越发敏感起来。
私が東京へ来て下宿を出ようとしたのも、これが大きな源因(げんいん)になっているように思われます。金に不自由がなければこそ、一戸を構えてみる気にもなったのだといえばそれまでですが、元の通りの私ならば、たとい懐中(ふところ)に余裕ができても、好んでそんな面倒な真似(まね)はしなかったでしょう。
我认为到东京后之所以想搬出宿舍,这也仿佛是主要的原因。虽说因有了花钱的便利,才想另立门户,这么说当然顺理成章,但若按从前的我来说,即便手里有钱,也不会找这样的麻烦吧。
私は小石川(こいしかわ)へ引き移ってからも、当分この緊張した気分に寛(くつろ)ぎを与える事ができませんでした。私は自分で自分が恥ずかしいほど、きょときょと周囲を見廻(みまわ)していました。不思議にもよく働くのは頭と眼だけで、口の方はそれと反対に、段々動かなくなって来ました。私は家(うち)のものの様子を猫のようによく観察しながら、黙って机の前に坐(すわ)っていました。時々は彼らに対して気の毒だと思うほど、私は油断のない注意を彼らの上に注(そそ)いでいたのです。おれは物を偸(ぬす)まない巾着切(きんちゃくきり)みたようなものだ、私はこう考えて、自分が厭(いや)になる事さえあったのです。
我搬到小石川以后,这种紧张的心情也没能得到一点宽松。我那惶惑不安地四顾的样子,真叫我自惭形秽。奇怪的是,好动的只是我的大脑和眼睛,而嘴巴却正相反,越来越缄默了。我常常一声不响地坐在桌前,猫儿似的观察着这个家庭。时时对她们保持着高度警惕,而为此又常常感到内疚。我觉得我象个不偷东西的小偷,连自己也在憎恶自己。
主播介绍
本期主播:潇匠
本期编辑:LMN
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