【晚安日语】0301 | 汚点
皆さん、こんばんは。お休み日本語へようこそ。Katyaです。
今日の文章は『汚点』。
堤防を下って、僕は飲食街に足を踏み入れた。あたりに薄く白く靄が立ち込めている。その靄の向こうに人影があった。その人影は小さくて、道路にバケツを持ち出し何か洗っている。近くへ行って見ると、それは弟だった。学童服の上に、毛糸のくたびれたちゃんちゃんこを羽織っている。紫で背中にむしくいの後があった。母がよく着ていたやつだ。弟のために置いて行ったのだろう。
走下堤坝,我迈进饮食街。周围生起了白色的薄霭。暮霭那边有一个人影。这个人影小小的,正在路边拿出水桶洗着什么东西。走近一看,那原来是弟弟。弟弟在学童服的外面罩着破旧的毛线长坎肩。紫色的坎肩背后有被虫子啃过的痕迹。那是母亲经常穿的坎肩。应该是特意留给弟弟的。
弟はバケツに赤く腫れあがった手を突っ込みながら、黙々と葱の泥を洗い落としていた。ぼくは弟の背中を見つめながら、随分長い間、立ったままでいた。どうしても声をかけることができない。弟が泣いてでもいたら、走り寄って、ぱん!と肩を叩くぐらいのことはできただろう。しかし、彼は押し黙って、さっさとでもなく、のろのろとでもなく、ただ手を動かしているだけだった。
弟弟正把红肿的手伸进水桶,默默地洗着大葱上的泥巴。我就那样盯着弟弟的背影,站了很久。然而我却无论如何都无法开口。倘若弟弟是在那里一边哭一边洗,我肯定能跑到他身边“嘭”地拍一下他的肩膀,然而他却只是在那里沉默地动手洗着,既不急促,也不慢吞吞。
少しでも寒さを防ごうというつもりなのか、弟は背骨をひどく丸めていた。まるで体が二つに折れているように見えた。あるいは、寒さを防ぐためではなかったかもしれない、一家離散の辛さや悲しさを幼い身に背負いかねて、背骨が折れそうになっていたのかもしれなかった。彼の両耳は霜焼けを通りこして、ぐじゃぐじゃの雪焼けになっていた。痒くて引っかいたのか、瘡蓋が半分千切れて、今にも落ちそうにぶら下がっていた。
也许是为了尽量御寒吧,弟弟深深地蜷起了身子。看起来简直就像是把身体折成了两段。或者说,那可能并不是为了御寒,也许是因为一家离散的艰辛与悲哀几乎要将他那小小的脊梁压折。他的两只耳朵满是冻疮,已经烂乎乎的了。可能因为太痒挠过吧,上面的痂壳被扯开了一半,马上就要掉下来了。
ぼくは回れ右をし足音を忍ばせながら、いま下りた堤防をまた上った。そして、遠回りをして駅に戻った。ぼくは何気なく弟にあおうと考えたのだった。例えば、小学生の向かいあたりで弟のやって来るのを待つ。弟が歩いてくるのを見つけたら、ぼくもこっちから歩いて行く。
我放轻脚步绕到右边,爬回刚刚走下的堤坝,避开弟弟,绕远路回到了车站。我本来打算若无其事地与弟弟见面的。比如说在学校对面等待弟弟的到来。当我看到弟弟跑过来,我也一定会迎过去。
どうもありがとうございました。
では、おやすみなさい。
主播 | katya
小编| 橙橙
责编 | 日语之声
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