【日语共读】《心》夏目漱石（104）

心

       《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐，同时也赢得了房东太太的好感，但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心，迟迟不能表白自己的心意。后来，“先生”的好友K住进了房东家里，也爱上了小姐，直率的K向好友“先生"表白了自己的心事，“先生”在表面上批评K“不求上进”，背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了，同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责，婚后的“先生”一直无法忘却K，他的内心无比的寂寞，终于也走上了自杀的道路。

　「いいたい事があるのに、いわないで死ぬのも残念だろうし、といって、こっちから催促するのも悪いかも知れず」

 　“他若有话没说出来就死了，固然是遗憾，但是由我们去催促，恐怕也不妥吧。”叔父也想了想说道。

 

　　話はとうとう愚図愚図（ぐずぐず）になってしまった。そのうちに昏睡（こんすい）が来た。例の通り何も知らない母は、それをただの眠りと思い違えてかえって喜んだ。「まあああして楽に寝られれば、傍（はた）にいるものも助かります」といった。

我们的话终于吞吞吐吐地不了了之。病人不久便陷入了昏睡状态。无知的母亲和往常一样，还误以为那只是安睡，反而快活地说：“唉唉，能这么舒舒服服地睡觉，旁人也得救了。”

 

　　父は時々眼を開けて、誰（だれ）はどうしたなどと突然聞いた。その誰はつい先刻（さっき）までそこに坐（すわ）っていた人の名に限られていた。父の意識には暗い所と明るい所とできて、その明るい所だけが、闇（やみ）を縫う白い糸のように、ある距離を置いて連続するようにみえた。母が昏睡（こんすい）状態を普通の眠りと取り違えたのも無理はなかった。

父亲常常睁开眼睛，突然问些谁怎么了之类的事。他指的是刚才坐在这儿的人。在父亲的意识里，有明暗两部分。那明亮的部分，仿佛是一条缝在黑幕上的白线，断断续续地连接着。母亲把他那昏睡状态误认为是一般睡眠也不是没有道理的。

 

　　そのうち舌が段々縺（もつ）れて来た。何かいい出しても尻（しり）が不明瞭（ふめいりょう）に了（おわ）るために、要領を得ないでしまう事が多くあった。そのくせ話し始める時は、危篤の病人とは思われないほど、強い声を出した。我々は固（もと）より不断以上に調子を張り上げて、耳元へ口を寄せるようにしなければならなかった。

过了几天，父亲言语渐渐含混不清了。说了些什么，谁也听不明白，所以许多事情不得而知。但是，开始说话的时候，声音还很大，简直不象个垂危的病人。我们要说话的时候却要用比平时更高的声音，凑近他的耳边才行。

 

「頭を冷やすと好（い）い心持ですか」

“冰着头，好受些么？”

 

「うん」

 “嗯。 ”

 

私は看護婦を相手に、父の水枕（みずまくら）を取り更（か）えて、それから新しい氷を入れた氷嚢（ひょうのう）を頭の上へ載（の）せた。がさがさに割られて尖（とが）り切った氷の破片が、嚢（ふくろ）の中で落ちつく間、私は父の禿（は）げ上った額の外（はずれ）でそれを柔らかに抑（おさ）えていた。その時兄が廊下伝（ろうかづた）いにはいって来て、一通の郵便を無言のまま私の手に渡した。空（あ）いた方の左手を出して、その郵便を受け取った私はすぐ不審を起した。

我同护士合作，给父亲换下水枕头，然后把装好新冰的冰袋放在他额上。当把被削成带尖的碎冰片装在冰袋里的时候，我在父亲光秃的额头旁，把它们按得平整些。这时，哥哥顺着走廊走进来，一声不响地把一份邮件递到我手里。我腾出空闲的左手接过这份邮件时，顿时觉得很奇怪。

 

それは普通の手紙に比べるとよほど目方の重いものであった。並（なみ）の状袋（じょうぶくろ）にも入れてなかった。また並の状袋に入れられべき分量でもなかった。半紙で包んで、封じ目を鄭寧（ていねい）に糊（のり）で貼（は）り付けてあった。私はそれを兄の手から受け取った時、すぐその書留である事に気が付いた。裏を返して見るとそこに先生の名がつつしんだ字で書いてあった。手の放せない私は、すぐ封を切る訳に行かないので、ちょっとそれを懐（ふところ）に差し込んだ。

 这份邮件要比一般的信沉得多。它不是装在一般的信封里，而且也不是一般信封能够装得下的。用半纸（注：一种日本写信习字用的纸。）包着，封口用浆糊仔细地粘着。我从哥哥手里接过时，就发观是封挂号件。翻过背面一看，上面工工整整地写着先生的名字。因为腾不开手，不能马上启封，便把它先揣在怀里了。

主播介绍

本期主播：エル

本期编辑：LMN     

责任编辑：日语之声

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